サンフランシスコで大企業からスタートアップに転職した
三年ほど勤めたアメリカの大企業(アメリカだけでも数万人の社員がいる)を辞めて、シードA調達したくらいのスタートアップ(社員数15人くらい)に転職することにした。家賃が高い家に引っ越したばかりだけど、まあなんとか頑張っていくしか無い。人生初のちゃんとした転職で、いろいろ思うことがあったので、記憶が新しいうちに言語化しておきたい。
この記事では転職を考えだしたきっかけ、最終的に判断した理由などについて自分用にまとめておこうかなと思う。半年後とかに見かえたときに、未来の自分はどう思うだろうか。
7ヶ月前に一度記事にしてたけど、ここ一年半くらい、アメリカのテック系の企業のサンフランシスコオフィスに勤務しながら、日本市場向けの開発をするというユニークな環境にいた。プロジェクト自体はまあ気に入っていたのだけど、自分が唯一の日本語話者エンジニアであるという理由でパートナーからやってきたエクセルを更新する羽目になっていたり、自分だけが一次情報に当たれる中で社内での情報共有に難しさを感じていた。ちょうどその頃チームの再編などがあり、尊敬していたエンジニアが休職してしまったり他のチームに移ったりして、自分のプロジェクトに対するマネジメントからの十分なサポートを感じられなくなってしまった(このあたり、自分の立ち回りとしてもっとうまく出来たなあという気もしているのでそれも機会があれば記事にしたい)
1-2ヶ月前から具体的に転職活動らしきものを始め、その過程で自分が何をしたいのかを何度も考えることになった。
実はアメリカに来る前に、友人の立ち上げたスタートアップを友人含め三人で頑張っていた期間が半年だけあって、働き方としてはあれがひとつの理想だったではないかと思っている。当時は三人全員がアプリのバックエンドからフロントエンドまで全部面倒を見ているような状況で、とにかくゼロからいろいろ模索していたので、日々何かしら進んでいる間隔があった。もちろん作ったものが実際に使ってもらえるか、利益を生むか、というのは全く別の話なのだけど。
大企業(以後A社とする)ではdistribusionの問題は比較的解決されていて、いざ開発したものはmarketingチームの人が宣伝してくれたり、会社自体のネームバリューでそれなりに利用されたりはしているという良さはありつつも、逆に社内の調整やらはそれなりのオーバーヘッドがあったし、リスクをとっても素早く行動する、という判断がいつも出来たわけではなかった。
そうした経験から転職に際してはシード〜シリーズAくらいのスタートアップを中心に探していた。自分がそれなりのオーナーシップを持って物事を進められると良いな、という期待からfullstack engineerを求人しているところを中心に見ていた気がする。
転職に際していろいろ情報を集めていて自分の中で腑に落ちたのは「大企業からスタートアップに転職する動機はgrowthであるべきだ」というもの。自分は新卒で大企業に入って毎年順調に給与も伸びていたし、待遇の期待値ではやはり大企業に軍配がある。プロジェクトの面白さやインパクトという観点でも、大企業にしか出来ない面白いプロジェクトはたくさんあるし、スタートアップで必ずしも面白い仕事ができるかというと当然そうではないと思う。一方、スタートアップならではの働き方や経験というのはあるのではないかと思っていて、次の職場ではスタートアップとして社内リソースが殆どない中でものづくりをしていく経験や、会社として利益をあげて成長していく様子を体験出来ればなあと思っている。
技術的には、A社に入社以来主にAndroidの開発で、たまにサーバサイドの開発をするときもJavaという感じだったけど、新天地ではWeb開発メイン、golangを書けるぽくて、結構楽しみである。インフラ周りとかも、ちゃんとした仕事として触ったことはあまりないので、新天地で体験出来ると良いな、と思っている。
引っ越した
アメリカで働き始めてから三年弱、無事に家賃の値上げにも出会わず、ずっと同じ家に住んでいた。
多少は収入が増えたことと、一時間の通勤がさすがにつらくなってきたことがあり、オフィスの近くに引っ越した。最初の家はSunset地方という西の外れのほうで、一軒家が多い住宅地帯。一方の引越し先は、スタートアップひしめくSOMAエリア。高層ビルも結構あって、なかなか都会っぽい。引っ越しに伴い家賃が月1000ドル以上あがってしまったけど、それでも相場からちょい安いくらいなのでまあしょうがない。
引っ越しに際して不用品を処分するのにcraigslistとletgoを使ってみた。letgoは写真を撮るだけで物体認識してくれてタイトル自動で付けてくれたり、いまどきの売買アプリという感じで良い。メルカリは発送が面倒そうなので今回は見送り。
事前の予想に反して、letgoのほうがややレスポンスが良かった印象。いずれにせよ無料のものはすぐ受け取り手が見つかるけど、有料のものはむずかしい。これは日本で引っ越したときも同じだったな。
あと、不用品処理としては市の粗大ごみ回収サービスを利用した。事前に電話で予約すると、家の前まで引き取りにきてくれる。
捨てられずにたまっていた蛍光灯電球も同様に市の回収サービスを利用しようとしたが、これは2週間先まで予約がいっぱいとのことで引っ越しに間に合わなかった。一日数個まで持ち込みできる回収センターが市内あちこちにあるらしいので、少しづつ持ち込むしか無い。
Hazardous Waste | Recology San Francisco
引越し業者はYelpで探した。Yelp上で複数の引っ越し会社に相見積もりを出せて、予約までできるのは良い。評判の良さそうなMoving forwardというところに今回は頼んだ。
トラック一台と作業員2人で、一時間あたり$120とガソリン代が固定で$25だった。事前に荷造りはせずに、ダンボールを持ってきてもらうかたち。二人暮らし荷物そこそこ、車で30分位の距離の引っ越しで、結局5時間かかった。
ともあれ引っ越して会社が近くなってだいぶ快適になりそう。アジア系の食材を買えるスーパーがこの近辺でまだ見つかっていないので、当面はそれが課題かな。
サンフランシスコで和食を自炊してサバイブする
といっても自炊してくれているのは妻だけど。
アメリカにやってくると、やはり大変なのは日々の食事。サンフランシスコのジャパンタウンには日系スーパーがあるにはあるが、我が家から遠い上に価格設定も強気なので日常使いしにくい。幸いなことに自分の今住んでいるSunset地区はアジア系の人が多く住んでおり、なんだかんだ和食に利用できる食材が手に入りやすい。Irving通り沿い (19thから25thくらいまでの間)にいくつも中華系のスーパーが密集しており、だいたいのものが手に入る。
普段利用しているスーパーなどをまとめてみたい。
Sunset Supermarket - Yelp
メインの買い物に利用している大型スーパー。白菜、しいたけ、ねぎ、やまいも、さつまいも、チンゲンサイ、えのきなどなど野菜各種に加え、冷凍食品(うどん、餃子など)、魚類(えびやらサンマやら)、肉類と一通り買える。
2227 Irving Seafood Market - Yelp
店名にfishmarketとあるが、肉類も扱っている。豚バラ肉が買えるとても貴重なお店(アメリカでは基本的に豚の薄切り肉は売っていない*1 店員の半分以上が英語を喋れないチャイニーズなお店。Pork berryと頼むとその場で切ってくれる。店員のおっさんが適当で、頼んだ量より多めに切ってくるのでご注意を。
S & B Supermarket - Yelp
コンビニくらいの狭いスーパーだけど、日系の食材があれこれ置いてあってありがたい。納豆の他、しょうゆ、ポン酢、キューピーマヨネーズ、桃屋キムチの素、焼肉のタレなどの調味料、インスタントラーメン、お茶漬けの元などが買える。片栗粉やかつお節も運が良ければ手に入る。
Tokyo Central
カリフォルニアの日系スーパーMarukaiと同じ会社が運営してるオンラインストア。$120ドル以上の購入で送料無料。 アメリカに来て以来、お米は田牧米ゴールドというのをずっと食べている。このサイトで買うと一袋だいたい$35 (Amazonなんかで買うよりよっぽど安い)なので、お米がなくなるたびに三袋購入し、ついでにこまごまとした日本式の調味料やインスタント食品などを買うのに使っている。
*1:参考記事: サンフランシスコで探すありそうでなかった料理食材
運転免許無いけどMonterey行ってきた - 2017 3月
3月の最初の週末に、二泊三日でMontereyに旅行に行ってきた。Montereyはサンフランシスコから車で2-3時間南に行ったところにある海沿いの街で、さらに車で10分程の距離にあるCarmelと合わせて、ベイエリアに住む人の週末旅行の行き先として人気が高い。
僕も妻も運転免許を持っていないので、なかなかMonteryまでたどり着くのが大変そうだ、と思ってこれまでは行ったことがなかったのだけど、今回重い腰をあげて行ってみることにした。
まず、行きはCaltrainを利用してSan FranciscoからSan Joseまで。平日朝の出発だったので、通勤特急みたいなやつで1時間半くらい。 San JoseからはLyftに乗ってMonterey のfisherman’s warfまで。一時間ちょっとで、運賃はチップ前で$90ほど。運転手さんにちょっと申し訳なかったので、チップを多めに払っておいた。 初日はfisherman’s warfでご飯食べたり、ダウンタウンをふらふらしたり。小さい町なのでダウンタウンは特に見るものもない。
Canary Rowの方はちゃんと観光客向けに最適化されている感じだった。ダウンタウン→Canary Rowは徒歩三十分くらいで、歩けなくは無いかもしれないけど歩くと大変そうな距離。我々は大人しくLyftに乗った。 airbnbで見つけた宿泊先はフレンドリーなホストがいて良い感じだった。
二日目は朝からWhale watching. Airbnbのホストがおすすめしてくれた Sanctuary Cruiseという会社を利用した。これはMontereyよりやや北のMoss Landingという港から船が出ていて、Whale watchingのポイントに近いところから船が出る分、燃料が少なくて済むし、参加者としても船酔いのリスクが減るとのこと。Uberで宿泊先からMoss Landingまで$30くらい。
Sanctuary Cruiseは十数人乗りくらいの大きさの船で、バイオ燃料を利用して環境にも優しいとのことで、なかなか良さそうだったのだけど、この日はなかなか鯨が見れず、最初の一時間くらいはひたすら船を走らせていた。 結局鯨が見れたときにはMonteryのfisherman’s warfにかなり近いところに来ていたので、結果論としてはMonteryのfisherman’s warfから出てるツアーでも良かったのかもしれない。 最終的に、この日は遠くから鯨を2,3頭見ることが出来た。また、イルカの群れに出会うことも出来て、こちらは船のところまで来てくれたのでとても良かった。
Moss landingにあるレストランでランチを食べた後は、またもやUberでCarmelまで。$30くらい。建物が可愛らしい街で、雑貨屋さんなどが多いので妻は楽しそうにしていた。
この日の夜はNetflixで finding dory (劇中に出てくる水族館のモデルがMonterey水族館)を見るなどした。
三日目はMontery水族館に行った。色んな人からじっくり見て回ると丸一日かかると言われていたので、10時の開館に合わせて行った。 普通に楽しめたけど、全部見て回っても3時間くらいだったかな。葛西臨海公園水族館とかよりもっと広いのかと思っていたけど、そこまでではなかった。
楽しい旅を終えて、家路に着く。San FranciscoまでずっとUberかLyftに乗っていくという手もあるかなと思ったのだけど、調べてみるとSalinasという近くの街からgreyhoudのバスが出ているらしいのでそちらを利用してみることにした。Montery -> SalinasまでLyftで30分、$40くらい。Salinasからのgreyhoundが想像してたよりも高くて、二人で$230くらいだったかな。SFまで直接Lyftに乗るのとたいして変わらないかもしれない。ただ社内に電源があるなど、乗り心地は悪くなく、2時間くらいでSFのバスターミナルまで到着した。
ということで免許を持っていなくても、Uber/Lyft/公共交通機関を駆使することで楽しい旅行をすることが出来た。もちろん時間的・金銭的に損をしてるように見える部分はあるわけだけど、それらの不便を考えても、自分で運転をするという行為が自分には考えられないので、自動運転技術の発展を祈るのみである。
大統領令の対応が明暗を分けたUberとLyft - アメリカにおける政治的問題とPRのややこしさ
トランプ大統領が就任一週間目に署名した、イラン・イラクなど7カ国からの入国を90日間禁止する大統領令は、施行直後から大きな批判を呼んだ。入国制限はすでにビザやグリーンカードを保持する人にも及び、労働ビザを拠り所にアメリカで働いている自分としても全く他人事ではなかった。もともと移民が多くリベラル寄りなサンフランシスコやニューヨークでは、空港などで大規模なデモが行われ、ニュースは大統領令に関する話題で持ちきりだった。
そんな騒動のさなか、面白いなあと思ったのがアメリカのテック企業のそれぞれが敏感に反応していたこと。週末であったにも関わらずairbnbやDoordashなど、テック企業の創始者自らがTwitterなどで自分の考えや、会社として支援する声明を出したりしていた。例えばTechcrunchの下の記事なんかを見ると、名前を思いつく限りのテック企業がすべて何かしらの行動をとっていることがわかる。
特に、ともにオンデマンドタクシーサービスを提供するスタートアップであるLyftとUberの、大統領令に対する対応の違いと、それによって招かれた結果が自分には興味深かったのでメモ代わりに記録しておこうと思う。
以下、時系列
1/27(金)
トランプ大統領が大統領令にサイン
1/28(土)
Uber創業者が社内向けメール(全文)にて、大統領令によって被害を受けた従業員に金銭的保証をすることなどを連絡。 また、他の大企業の社長などと並んで、自身がトランプ大統領のeconomic advisory counsil (経済顧問グループ)であることにも言及し、政治家と手を取り合っていくことが良い変化をもたらすためには必要だと主張している。 このメールは一部を切り取ってSNSなどにシェアされ、「Uberはトランプを支持している」として批判を受けた。
一方、Lyft創業者はTwitterで大統領令を批判、antiethical (倫理に反する)という強い言葉を使っている
2/ Trump’s immigration ban is antithetical to both Lyft's and our nation's core values.
— logangreen (@logangreen) 2017年1月29日
大統領令に反対する大規模なデモが起きているニューヨークでは、タクシー協会がJFK空港からの乗客ピックアップを行わないボイコットを敢行
NO PICKUPS @ JFK Airport 6 PM to 7 PM today. Drivers stand in solidarity with thousands protesting inhumane & unconstitutional #MuslimBan.
— NY Taxi Workers (@NYTWA) 2017年1月28日
これは結果として、タクシーを拾えない客がUberに流れ、需要増でUberの利用料が高騰することになった。 (UberにはSurge pricing という、需要に応じて値段が変動する仕組みがある) Uberはその後JFK空港周辺でのSurge pricingを停止したけれど、デモに便乗してお金儲けをしているとして批判された。
ちなみにこのときLyftも営業して利益をあげていた(?)と思うのだけど、Lyftを批判するコメントなどは見られなかった。 背景として、UberのほうがLyftよりも商業的に成功していること、Lyftと比較してUberは従業員やドライバーに対する扱いが悪く、以前より批判されがちだったことがあるだろう。
Surge pricing has been turned off at #JFK Airport. This may result in longer wait times. Please be patient.
— Uber NYC (@Uber_NYC) 2017年1月29日
上述のLyft・Uberのスタンスの違い、またUberがNYでのデモに便乗して利益を上げたなどの批判から、Twitter上で#DeleteUberというハッシュタグをツイートするユーザが現れ、トレンド入りするまでになった。
1/29(日)
Lyftは公式のブログにて、大統領令を改めて批判するとともに、大統領令に反対する運動をしている人権団体ACLUに、今後四年間で$1M (一億円くらい)を寄付していくと発表した。
一方Uberも、創業者が28日に社員に送ったEメール(上述)についてのブログ記事をTwitterで宣伝(以下のスクショは僕の実際のタイムラインに流れてきたpromoted tweet)するなどして、自社の主張を届けようとしたが、#DeleteUberのトレンドは止まらなかったように思う。
Uber創業者のTravisはFacebook上で改めて大統領を批判するとともに、Uber大統領令で影響を受けたドライバーに対する法的援助費用などのための$3Mの基金を設立すると発表した。
1/30(月)
UberをアンインストールしLyftに流れるユーザが大勢いたことから、App StoreでのLyftの順位が39位から4位へと急上昇し、アプリ公開移行初めてUberのランキングを抜いたことが報道された。
SNS上でのUberに対する批判は収まりを見せず、例えば以下のTweetは1/30に投稿され、1000以上のいいねがついている。
Goodbye @Uber. Hello @lyft. #DeleteUber pic.twitter.com/Hk04FpllUn
— Susan Sarandon (@SusanSarandon) 2017年1月30日
2/2(水)
トランプ大統領とのcouncil meetingを2日後に控えたこの日、Uber創業者のTravisは、自身がcouncilを辞退することを発表。 もとより大統領令を支持する意図はなかったが、さらなる誤解を避けるためにcouncilをやめることにしたとのこと。
New York Timesの報道では、今回の件でUberは20万人のユーザを失ったとも言われている。
こうしてまとめてみると、個人的にはUberが特に論理的に誤った対応をしたとは思わないし、別にcouncilからアドバイスしていくという立場も妥当だったと思うが(実際、Tesla CEOのElon Muskなんかはいまでもcouncilに所属している)、結果としてはUberはSNSでの炎上により20万ものユーザを失い、更に結局councilからも脱退することとなった。一方でLyftは大量の新規顧客を獲得することになった。
日本でなにかしらの大規模な政治的問題が起きたとして、個々の企業レベルで正式見解を出すということはあまり無いような気がする。一方アメリカの特にテック企業では、上に述べたように多くの企業が何かしらの声明を出していた。もともとテクノロジー業界は比較的新しく多くの移民に頼っていること、またアメリカ人は(日本人と比べて)政治的問題に関心が強いということなどがあるのだろうか。
いずれにせよ、サービスと本来関係ない、政治的な問題への対応やPRによって、これだけ各企業にとって大きな違いをもたらすというのはとても興味深い出来事であった。
件の大統領令については、結局裁判所から一時差止命令が出て、今のところ差し止め状態になっている。 多くの人が指摘しているように、とても「アメリカらしくない」政策だと思うので、しっかり却下されると良いな、と思う。
2016年お仕事振り返り - US企業から日本向けの仕事をする
1月ももう終わってしまうけど、2016年について振り返っておく。2016年の特に後半は、仕事ばかりしていた年だった。
入社した当初は、アメリカに本社がある企業の、アメリカ向けの製品開発に関わっていたのだけど、そのプロダクトがだんだんグローバル展開を始めたのが2016年。自分の近くに座っていた同僚がたまたま日本展開絡みのことをやっていたのをきっかけに、自分も日本向けのリリースに関わることになった。
マーケットによっては、アメリカ向けの製品を翻訳して微調整、だけで済むこともあるらしいのだけど、日本はいろいろと事情があり、それなりのボリュームの調査と開発が求められることになっていた。ビジネス面などでは東京オフィスの助けを借りつつも、PMとエンジニアはすべてUSに居るので、自分含め3人などの少人数で、日本への出張を繰り返し、弊社のエンジニアとしてはかなり珍しいことに、直接パートナーのオフィスにいって交渉をするなどした。
自分が前に担当していた領域含め、いまの会社の一般的な体制としては「技術的知識を持っていてパートナー交渉にあたる」専門職があり、エンジニアは純粋な技術的課題に向き合えることになっている。が、日本でやる新プロジェクトはそもそも技術的知見を集めるところからのスタートだったのと、同僚エンジニアがとにかくなんにでも参加したがるタイプだったので、エンジニアたちがどんどん参加して行くような感じだった。
製品開発の拠点をUSに起きつつ、その他(ビジネス、マーケティング、法務など)は日本オフィスの人に(ほとんどサイドプロジェクトのような時間配分で)お手伝いしてもらう中では時差やコミュニケーションの難しさもあった。
外部のパートナーや、マーケティングなどチーム横断的な人たちと仕事出来たのは色々勉強になってよかった。自分は他人に何かをお願いしてやってもらうということが苦手(自分で解決しようとしてしまう)なのだけど、何でも自分で抱え込むのはたいてい悪手なので、そこら辺の折り合いをもう少し上手くつけれるようにしたい。
開発的な意味では、コードを書いていた絶対時間は2015年と比べるとだいぶ減ってしまったけど、他社と協力するという前提でコーディングなり出来たのはよかったかな。
日本の会社と仕事するということで、自分の日本に関する知識や日本語ネイティブであることを活かしてかなり色んな役割や色んな議論をさせてもらえたけど、これは正直言って一長一短というところ。2017年はもう少し「日本語が喋れるという理由」だけで自分に割り当てられている仕事の割合を減らして行かないとなあという気がする。
情報共有についても同様で、どうしても日本語ベースの一次情報が入ってきたときに、自分含め日本語を理解する人が、それを英語に翻訳(しかもなるべく主観が入らない形で訳さないといけない!)して共有しないと、英語話者にとってはその情報は無いも同然なので、かなり意識的に負荷をかけないとチームとして機能しない気がした。そこまでしても同僚はメール見てなかったりするしね。。。
まだまだ改善の余地がある状態ではありながらも、なんとか昨年中にリリースまでこぎつけることが出来たのは、正直に良かったなあという感じがする。
アメリカの会社というやつは、11月はサンクスギビング、12月はクリスマスで、それぞれ二週間ずつくらい、人が居なかったりサーバに新しいプログラムをデプロイ出来なかったりする時期があるので、なかなか大変だった。
製品リリース自体は全く初めてというわけではないのだけど、今回のリリースは自分が貢献したと言える部分がこれまでと比べて多かったので、やはり良いものである。 今年も同じ製品に継続して関わりながら、改善したり、同じ製品の上で新プロジェクトに関わったりしていく予定。
世界最大規模のmonolithicコードベースを有するGoogleと、世界最大規模の分散コードベースをhostするGitHub
github上で公開されている280万以上のリポジトリのsnapshotを、Google Big Query上で利用できるデータセットとして公開すると、GoogleとGitHubがそれぞれ発表した。
これによって「GitHub上で一番使われているJavaのpackageは何か」というようなGitHub上のソースコードすべてを対象としたクエリが簡単に書けるようになる。
ところで、同じ時期に、Google社内のmonolithic(一枚岩)なコードベースに関するレポート論文(Why Google Stores Billions of Lines of Code in a SIngle Repository)がACMで公開されていた。
冒頭で紹介したGitHubとGoogleの取り組みは、280万のリポジトリ・1.6億ファイルの情報を横断的に検索したり、修正を提案したりできるようにするための試みだった。すでにGoogle社内ではほぼすべてのコードを単一のツールで検索したり、横断的にパターンを適用してリファクタリングしてるわけで、そういったところからモチベーションが湧いてきたのかな、と思うと興味深い。
Why Google Stores Billions of Lines of Code in a SIngle Repositoryは面白そうなのでまた改めて紹介したいような気もするのだけど、冒頭の記事で紹介されてるGitHubの数字と比較してみると面白いなと思ったので以下にいくつか並べてみる。
- 2008年創業
- のべ1200万人が3100万のプロジェクトに参加
- データセットサイズ3TB+ (全リポジトリ上の全データではなく、サイズの大きいバイナリは除いてあるとどこかで言及されていた気がするが出典を紛失)
- 280万公開リポジトリ
- 1億4500万公開コミット
- 1億6300万ファイル
- 1998年創業
- リポジトリサイズ86TB
- 2.5万のエンジニアがリポジトリを共有
- のべ3500万コミット
- 900万ファイル、20億Line of Code (ちなみにLinuxカーネルは4万ファイル1500万Line of Codeらしい)
ファイル数だけで言うと、GoogleのコードベースはLinuxカーネルの200倍以上で、GitHubはさらにその10倍以上であるということが言える。Googleをすごいと見るか、GitHubをすごいと見るかでいろんな比較ができそうな数字である。
まあ、どっちもすごいという話なのかもしれないけど。