進研ゼミ公式アニメが良い味を出していたのでまとめる


キミが中2でイキナリ成績アップできる物語(全編)

先日,進研ゼミ中学講座による20分の短編アニメが公開された.

「キミが中2でイキナリ成績アップできる物語」というキャッチーなタイトルながら, 描かれているのはSFであり,学園物語であり,主人公の成長譚である.

詳しくは動画を見ることをおすすめするが, 時間のない方のために以下にストーリーを書き起こした.


「もうすぐ中二か…」
主人公の一歩は中学校に入ってからというもの,テストの点数は下がる一方,胸を踊らせ入部したサッカー部も休みがちになってしまっていた.

「ああ…テストも部活もない世界に行きたい.競争や,面倒な人間関係なんてなくなればいいのに」
そう思いながら眠りにつく一歩.

―翌日一歩が目を覚ますと,世界は色を失っていた.

一歩は2042年にタイムスリップしてしまっていた.
この世界にはテストも,部活も無い.
人間の競争意識が平和を乱すと考えた国家によって,すべては禁止されてしまったのだ.

この世界では誰もが感情を持たずに,ただ日々を過ごしていた.
心を殺して色のない世界に溶け込もうとする一歩.
しかし,心の奥にある違和感を拭い去れずに居た.

そんなある日,一歩の耳に音楽が飛び込んできた.
「音楽なんて,この世界には無いはずなのに」

音の出処を必死で探す一歩.

教室のドアを開けると,そこには一人の少女が佇んでいた.
「キミも色がついてるね,だいぶ色褪せてるけど」
少女の名は愛夢.彼女はレジスタンスとして,世界に色を取り戻すために活動していた.
悲しみもないかわりに喜びもないこの世界は間違っているという愛夢の主張を聞き,
人々が夢を持つ元の世界を取り戻したいと決意する一歩.

そのとき,突如教室が色を取り戻した.
「変わりたいっていうキミの気持ちが,この部屋に色を付けたんだよ」

一歩は愛夢と共に,世界に色を取り戻す活動を始める.
愛夢は「春休み勉強クラブ」の設立をここに宣言した.

愛夢が首から下げる光るペンに気がついた一歩.
「それは?」
「これは,勉強がすっごく楽しくなる秘密兵器」
そういうと愛無は要点★高速チェッカー(進研ゼミ教材)を取り出し,光るペンをかざした.
フラッシュペンで照らすことによって隠された重要事項が現れることで,勉強が辛くなくなるのだった.

要点高速チェッカーのおかげで,一歩は五教科の苦手をなくすことが出来た.
楽しそうな一歩と愛無の様子を見て,他の生徒も春休み勉強クラブへの入部を申し出た.
その瞬間,彼も色を取り戻した.一歩と愛無は計画の成功を確信する.

その後も春休み勉強クラブは順調に部員を増やしていった.
そんな折,一人の部員がこうつぶやいた.
「なんか,もっとしっかり復習したくなってきたなあ」
「この要点復習ドリルがあるから大丈夫」
そういって愛夢は「中1要点復習これだけは!」を取り出した.

春休み勉強クラブの面々はテストに向けて一生懸命努力し,その結果に一喜一憂するようになった.
そんな彼らの顔は輝いていた.
さらに一歩はサッカー部を設立し,前向きに勉学や部活に向き合う一歩やその友人たちはどんどん色を取り戻していった.

しかし,春休みが過ぎて中二になったある日のことであった.
突如,鎮圧部隊が学校に押し寄せた.

バリケードを作って教室に閉じこもる2年3組の面々.
「争いもなく,平和なこの世界のどこが気に入らないんだ」と鎮圧部隊が問いかける.
「何度挫折したっていい,夢に向かって頑張り続ける,そんな世界で俺は生きていたいんだーー!」
一歩の強い叫びはほかのクラスの生徒達にも届き,色を取り戻した生徒たちが押し寄せた.
そんな彼らに気圧され,鎮圧部隊たちは撤退を余儀なくされた.
鎮圧部隊を退けたことを喜ぶ一歩たち.
そんなとき,一歩は自分の体が薄くなっていくことに気がついた.
この世界での一歩の役目は終わったのだ.

ベッドの上で目を覚ます一歩.あれは夢だったのだろうか.
階下におりると,そこには進研ゼミのダイレクトメールがあった.


書き起こすだけで飽きてしまった...主な突っ込みどころは以下だろうか.

  • 2042年に,光るペンで文字が出てくるだけで,勉強が辛くなくなるというのは… ITを駆使したもっと辛くない勉強とかはなかったのか?
  • テストは禁止されているのではなかったのか?
  • なぜ手ぶらの一歩たちは鎮圧部隊を押し返すことができたのか?

概ね面白かったし,もっと伸びても良いのにな,というのが率直な感想 ニコニコにアップすればいいのに.

Week 8

今週は中間レビューみたいなものがあった.メンターからはそこそこ良い評価をいただけて,有難い限り.一方で,改善点の部分をまとめると「もっとチームメイトとコミュニケーションを取って自発的に動きましょう」という感じの評価だった.しごく妥当な評価で,ぐぬぬ…という感じ.去年別の企業でインターンをした時と比べると,だいぶ仕事らしいものが出来るようになった気はしているのだけど,他人と話しながら仕事をするときに,英語力が足を引っ張ってしまう.英語が喋れないという意識がどうしてもあって,話しかけたりするのが億劫になって,一旦軽い相談をしてから進めれば良いものを,黙っていきなり実装を始めてしまうというのも自分で感じていて,意識改革が必要だなあと思う.

日本に居たときは,下手なりにコミュニケーションは取れる気がしていたし,この前イギリス行った時もそこそこ喋れた気がしたのだけど,こちらではからっきし会話についていけない思いが強い.客人に対する英語と,同僚・友達に対する英語の違いなのだろうか.仮に仕事ができたとしても,コミュニケーションの部分で効率を落としていては雇ってもらえるわけがないので,英語に関しては帰国後も踏ん張って勉強しないとなあ.

仕事の仕方にしても,まだまだアメリカ式に慣れる必要がある.ハイテク企業では上司があれこれ指示をしてくれる訳では無い,というのはよく聞く話だしわかっていたつもりだったけど,やっぱり受け身になってしまう部分がまだまだ多い.なんだかんだ言って今の会社はまだスタートアップだと言い張っているので,ある大きなタスクがあったときに,うまいこと分解してこれとこれをまずやる,みたいなことが出来る人間が喜ばれるということだろう.

仕事のやり方,という点でもうひとつ付け足すと,どうもうまく休憩を取ることが出来ない.基本的に一日中机に向かっている.コーヒーを取りに行ったりは頻繁にしてる方だと思うのだけど,基本的にコーヒーをとってすぐに戻るので,たぶん疲れがとれたりはしてなくて,なんとなく効率が悪いような気がしてしまう.周りのガイジンに聞いたら,お前はもっと休むべきだって言ってきそうだけど,途中で抜けだしてだらだらするというのも,いつだらだらすべきなのか,どれくらいだらだらすべきなのか,などといちいち効率を考えてしまい,結局実行できない.この辺りはどうやって折り合いをつければいいんでしょうねえ.

Week 7

あとで見返すためにもしっかり毎週メモしたいと思っているのだけど,更新を忘れてしまう.三連休の最後の一時間になって思い出した.

今週は同じチームのインターンに対してコードレビューをした.自分がレビューをした所でアクセプトする権限はないのだけど,チーム全体の時間の関係で前レビューというか,そういうのをやった.他人のコードを見る分にはやはり岡目八目というやつで,いろいろケチを付けることが出来た.タイポやコメントの不備に関するレビューは出来る一方で,プログラムの構造に大きく手を加えるようなレビューは出来なくて(勿論元のプログラムが良かったという説もある),その辺りはまだまだ実力不足なのかな,と思った.

インターンに来て最初の方に仲良くなった数人がインターンを終えて帰っていった.とても仲が良かった,というわけでもないけど,もう会えないかと思うと結構寂しいものだ.彼らの中にはフルタイムとしてオファーをもらったり,二回目のインターンに誘われた人も居るようだ.もう一度インターン来いって言われたらどうしようかしら.

週末は二人の友人とそれぞれランチ. 片方は僕のインターン先に興味を持つ日本人で,わりと人脈的なランチだった.良い人なので助けてあげたいとは思う一方で,最近こういう,なんらかの利益を求めて付き合っていただくことがちょくちょく出てきて,ううむと思う.出世したということなんだろか. もう一方はカリフォルニア生まれのアメリカ人.元はインターネットで知り合った人なのだけど,僕が以前アメリカに来た時,彼が日本に来た時,今回,と会っていて,車で送迎してくれた上に良いお店に連れて行ってくれていろいろ気を使ってくれた.良い友達が出来たな,と思う.週末にご飯に誘ってくれる友人が居るというのは嬉しいことだ.

Week 6

前回書いたとおり今週はロンドンに行ってきた.ロンドンにある大学の院生たちに混じって,とある催しに参加することが出来た.一週間共に作業することが出来て,仲良くなることが出来たのはとても良い経験だった.

彼らの授業の一部を切り出したプロジェクトに,日本からの参加者が混ぜてもらうというかたちで,その内容を聞く限りとても実践的な内容だったので,自分が受けてきた教育との違いを感じていた.だけど,実際にプロジェクトが始まってみると,自分より開発的なものを知っている人はほぼ居ないような状況だった.なんだかんだこれまでのインターンシップや自主的な開発で力がついたのかもしれないなあと思ったし,意外と学生たちのレベルは高くないのかもしれないなあと思った.自分を振り返ってみると,学部生の時にあったグループ演習では結局テーマに興味を持てずコピペプログラムで足を引っ張ってばっかりだったし,まあそんなものなのかもしれない.

イギリスは日本と同じ島国で先進国であり,国民の自国愛も強そうなので,なんとなく排他的な印象があったのだけど,おじゃまさせてもらった大学では留学生の比率のほうが高いそうで,印象としてもほとんど英国人は居なかった.EUとしてビザが要らない・英語が公用語であるというボーダーの低さがあるのだろうか.日本とはだいぶ状況が異なるように思う.

短い間だけどアメリカで働くことが出来て,この理想的な労働環境と仕事内容が日本でも実現出来ればどれだけ素晴らしいかと思う.一方で,狭かった自分の知見が世界へ少しづつ広がるにつれて,日本と他の国との差をどんどん認識するし,日本でこれは無理だなあということも思う.なんか毎週日本に言及している.世界を知るにつれてナショナリズムが強くなっているというのはなんだか皮肉な感じだ.

Week 5

ようやくプロジェクトが本決まりな雰囲気.インターンは正規従業員とほぼ同じ権限を与えてもらっているけど,リソースの割いてもらえ方は決してそうでもなくて,自分から動かないといけない,ということを改めて認識した.

同じチームにブラジルから来たインターンが居て,彼とともに同じプロジェクトを進めていくことになりそう.まだ学部二年生らしいけど,とても優秀だし,よく働く.負けてられんすな.

給料が入ったり,支払いをする必要があったので,口座を開設したり,小切手を使ったりした.ちょっと住んでいるという感じになってきたかも.

ちょっとネットワークを広げた.せっかくこっちにいるのだから,非日本人と仲良くしないともったいないとは思うのだけど,とりあえずは日本の方々ばかり.学内向けサービスつくって2週間で1000ユーザ集めたぜな方と, アメリカ人数人しかいないスタートアップでインターンシップしてる方と,スタンフォードMBA取得中の方にお会いした.MITメディアラボの石井さんのインタビューで,「日本の若者に足りないものは」「足りないのではなく満ち足りているのだと思う」というやりとりがあったけど,「満ち足りている」状況からわざわざ飛び出してきてる人たちは面白い人が多い.

ようやっとプロジェクトに向けてお仕事,という段階だけど,大学関係の都合で一週間お休みをいただいて来週はロンドンへ行ってくる.アメリカ滞在中という特殊な状況にも関わらず予算を出していただいてありがたい限り.ロンドンはとても好きな街なので楽しみ.

Week 4

3分の1が終わった…だと… なんか週が進むごとに進捗が減ってる気がします.これはまずい.今週は特に書くこともないですね.ルームメイトと長く話す機会があったくらいか.彼は将来スタートアップをたちあげて世の中を変えたいのでPh.Dに進む予定らしい.なんというかアメリカっぽい考え方だなあ,と. 一向に英語力が伸びません.どうしたもんか.

僕が博士課程に進まない理由

ルームメイトはPh.Dを取得するつもりらしい.お前はなんでPh.Dに行かないのか,と言われて答えようとしたのだけど,うまく伝えきる事が出来なかったような気がする.せっかく真剣に話してくれたので,ここに文章として自分の答えを残しておきたい(彼は日本語は読めないので僕の自己満足だけど).

なぜ僕がPh.Dを取得しようとしないのか.

本当に世界を変えるようなアイディアはアカデミアから生まれるとルームメイトが言っていた.その通りだと思う.一方で,自分が博士課程に進んだときにそうしたアイディアを生めるかというと,微塵も自信が無い.僕は他人に認められるのが好きで,中途半端に賢いから,適当にそれなりの業績が出るような「研究」をするだろう.

Ph.Dの仕事は世界の外側を少しだけ押し広げて,まだ誰も知らないものを世の中に伝えることだ.とても尊い仕事であると思う.どこを押し広げる事ができて,それによってどんなインパクトを世に与えられるのかは,実際にやってみないとわからないことも多いだろう.数多の巨人たちが気の遠くなるような努力を費やして,世界は少しづつ,だけど着実に広がっていく.

自分もその一人になれたら良いなあと考えることはあったけど,今は別次元の話のように思える.研究室に籍を置かせてもらって一年以上経って,国際会議に投稿・発表もさせてもらったし,世の論文もいろいろ読んだし,輪講会では物知り顔でコメントをするけれど,いまだに「研究」というものがなんなのかよくわからない.

世の研究を見てそれらしい問題をでっち上げて,どこかで見たような方法で解決し,解決したように見えるような評価と,ちゃんと欠点もわかってるような考察を書く.一年くらいかけてこんなことをやっていて,しかも論文に起こしてみると論旨がぐちゃぐちゃだったりする.論文に残らない努力は徒労でしかなく,バグだらけのでっちあげプログラムが上手く働くケースを必死で探しだす.

論文を世に出すために,同じような文章を何度もこねくりまわし句読点の位置を変え,自分に都合の良い角度から関連研究との差分を主張する.もちろんこれは世界のどこを広げることが出来たのか世に伝えるために必要なステップではあるけれど.研究者が1000時間持っていたとして,どれだけの時間が「世界を広げる」ために使えるだろうか.苦しい山を超えた向こうに,ほとんど変わらない世界が待っていたとしても,歩みを続ける覚悟はあるだろうか.自分には,そこまでの覚悟をもって「研究」をすることが出来ないな,と思う.「好きだから研究をする」といのもよく聞く話ではあるけれど,「研究」が好きという状態も体験したことがないのでよくわからない.

結局のところ,覚悟が無いので逃げ出すということなのだろうし,Ph.Dに対するコンプレックスは今後も背負っていくことになるのだろうな,と思う.改めてまとめてみたけど,今日みたいに真剣な相手にPh.Dを目指さない理由を聞かれると回答に窮する他無いのかもしれないな,と思う.