サンフランシスコ出産付き添い記 at UCSF その2

前回のあらすじ

陣痛が来たものの子宮口が開いておらず、病院に行くも家に帰されること2回。麻酔を打ってもらって少しだけ寝たのでした。 nkazuki.hatenablog.com

強くなる陣痛

その日の夕方になると陣痛が激しさを増してきました。妻によるともはや10段階の10を超える(!)痛みだったそうです。この日の朝は痛みに苦しむ妻の腰をさすったりしていましたが、この段階になると触られることも気が散るとのことでした。 あらためて1時間の間に陣痛が5分間隔で続いたことを確認し、再度病院に電話して向かうことに。三度目の正直です。これまでカーシートを持っていっていたのですが、あとで取りに帰ってくればいいやということでカーシートは一旦家に置いて出かけました。このときの妻は本当につらそうで、立っているのも大変という感じでした。

そして入院へ

ようやく病院につくと、またtriage室に通されます。今回は比較的早くナースが子宮口の様子を見に来てくれました。すでに子宮口は6センチ空いているとのことで、麻酔医をすぐに手配してくれると言われました。車椅子に乗せられ分娩室に運んでもらったのがだいたい午後8時頃だったかと思います。

再び電話通訳システムを利用しつつ、麻酔医から潜在的なリスクについての説明がありました。アメリカの出産においては一般的なエピドゥラルという麻酔をもともと利用するつもりであったので、ちょっと冗長な気もしましたが、重要な事項であるので通訳を通しましょうという感じでした。麻酔医の先生は通訳しやすいよう落ち着いてはっきり喋ってくれたので非常にスムーズに進んだように感じましたが、後で妻に聞いたところ、陣痛の痛みがひどかったのでとにかく早く麻酔を打ってほしく通訳の間が長く感じたとのことでした。

エピドゥラルを打ってもらった後は、数分ほどで痛みがひいたそうです。陣痛の感覚こそあるものの、ようやく一息つける時間になりました。1時間ほど後に子宮口の様子を見に来ると行ってナースが去っていきました。麻酔を打つと食事はできなくなるのですが、ジュースは飲んでも良いということで、病院の冷蔵庫にあるジュースを運んできて妻に飲ませたりしていました。

子宮口が開いた

1時間後に来ると行っていたナースが来てくれたのは結局2-3時間後のことでした。触診の結果、すでに子宮口が10センチ空いているとのことで、いきみに入ることになりました。ナースが入れ替わり立ち替わりながらバタバタしていました。陣痛に合わせていきみます。

陣痛10-20回分ほどいきんだのですが、なかなか子供が出てきませんでした。この先の選択肢について医師が説明してくれようとしたのですが、すでに午前1時をすぎていることもあってか全く電話通訳につながりません。

長い待ち時間のあと、ようやく通訳につながりました。この通訳さんは正直今回出会った中で一番ひどかったです。訛りもすごかったですし、医師が行っていることを理解できずに聞き返す場面が何度もありました。徐々に医師がイライラし始め、基本は通訳なしで会話し、僕たちが必要を感じたときに通訳をお願いするという方式に切り替えました。

吸引分娩
  • 赤ちゃんが疲れてきたため、器具を使って引っ張る吸引分娩を提案すること
  • 吸引分娩には赤ちゃんの頭に負荷がかかり内出血などの恐れがあること
  • 3回ほど吸引分娩をして進展がなければ即帝王切開になること

などを説明され、吸引分娩をすることになりました。

承諾書にサインをすると、あっという間に準備が進み、それまで部屋に3人ほどしかいなかったのが、7人ほどの医師とナースが集まりはじめました。妻がいきむタイミングで器具をはめ、引っ張るということを2回続けて行いましたが、赤ちゃんの位置がほとんど変わっていないということで、帝王切開に移行することを告げられました。

緊急帝王切開

妻はそのままナースによって手術室へと運ばれて行きました。出産後は別の部屋で入院することになるため、荷物をまとめるように指示されました。僕は荷物をまとめ、手術着を着て部屋でしばらく待機していました。

数分後にナースに連れられて手術室に入ると、すでに妻は手術台に横たわり、手術が始まってるようでした。妻の顔の横に椅子が用意されていて座ることができたのですが、そこからは手術されている部位は見えないので、進行状況は全くわかりませんでした(見てもわからないとは思いますが)

妻は麻酔の影響で震えており、しゃべるのも大変そうでした。手術による痛みは感じないが、とても寒く感じるとのことでした(これも麻酔の影響らしいです)。麻酔医は二人いて、おそらく一方は研修医の人だと思うのですが、あまり落ち着きがない様子でした。妻の腕に点滴のためか注射を打っていたのですが、うまく血管が見つからないのか左右の手どちらも数回づつ試した後、結局諦めていました笑この研修医の方に妻が寒がっていることを伝えたのですが、本人がいっぱいいっぱいなのか聞いてもらえませんでした(あとでベテランの方の麻酔医師さんが温かい毛布をかけてくれて、麻酔を温かいものに変えてくれました)

赤ちゃんが出てくるまでは30分位かかったでしょうか。状況がわからないこともありとても長く感じました。生まれてきたことを告げられてから、数十秒後に産声が聞こえ、その後また静かな時間が続きました。医師が自分たちのほうにやってきて「無事に生まれたが呼吸に難があるため別室に連れて行った」ということを伝えられました。赤ちゃんは生まれた瞬間から肺呼吸に切り替わるが、たまに切り替えがうまくいかない赤ちゃんがいるとのことでした。

手術した箇所を縫い止めている間にもナースが時々来て赤ちゃんが無事であることを伝えてくれましたが、この段階ではまだ赤ちゃんに会うことはできませんでした。すべて手術が完了して産後の入院部屋についたときには午前3時を過ぎていたと思います。そのまま眠りにつきました。

続く