サンフランシスコのスタートアップで面接官をしている

絶賛人員拡大中のスタートアップに転職して以降、コーディング面接の面接官をするようになった*1

弊社はいろんな方面で人員を拡大中のため、面接対象の職種も多岐にわたっている。具体的には、入社からの数ヶ月の間で以下の5つの職種の候補者を面接した。

  • Fullstack engineer (自分の職種)
  • Infrastructure engineer
  • Data scientist
  • Technical product manager
  • Sales engineer

基本的に自分に期待されているのはエンジニアリング(主にコーディング)の技能のチェックなので、職種にかかわらず似たようなコーディング面接を行い*2、職種に応じて評価を調節することが多い。

コーディング面接に際しては、うちの会社ではcoderpadを利用して、実際に動くコードを書く面接を行っている。自分の(インタビューされる側としての)数少ない過去の経験だと、大企業のほうがホワイトボードにコーディングさせる傾向が多く、スタートアップは実際にコードを書いて実行させることが多い気がする。大企業は基本的な理論や理解を問うのに対し、スタートアップは実際に職務を完了させることができるかを見たがっているということかな、と思っている。

もちろん、弊社でも場合によってはアーキテクチャの議論にフォーカスしてホワイトボードのみで面接することもあるし、場合によってはずっと喋っているだけという場合もある。自分は今のところはコーディングを中心とすることが多い*3

コーディング面接の問題としては、LeetCodeなどから見つけてきた問題のストックの中から、応募者の経験に応じて出題している。なかなか手頃な問題のリストを集めるのに未だに苦労しているのだけど、一応自分が意図しているのは以下

  • トライ木など、発展的なデータ構造の知識の有無に依存するような問題は避ける
  • 複数の解法があるとなお良し
  • 30分くらいで実装が終わる
  • 現実の問題になるべく近いとなお良し(例えば、自分でLinkedListを実装する、みたいなのは避けるようにしている)
  • 自分でも出題する問題を一度は解いておく

自分が面接を受ける側だったときに、インタビューの内容によってやはり会社に対する印象が変わっていったので、なるべく候補者に面白いと思ってもらえるような問題を出題しようとしているが、正直まだまだ模索中である。

面接のフォーマットとしては、最初に5-10分くらいアイスブレイク的な会話(雑談と、過去の経歴、転職してやりたいことなど)をしたあと、コーディング面接を行い、最後に5分ほど応募者からの質問に答える時間をとるようにしている。

コーディング面接に際しては、

  • 応募者がうまく自分の考えをコミュニケーションできるか
  • 実際に解法のアイディアにたどり着くことができるか
  • コーディングの早さやアプローチ(例えばこまめにテストをして問題がないか確かめ、簡潔なコードを書けるような人は印象が良い)
  • 例外的なケースにちゃんと気づくことができるか(ちゃんと説明してくれれば実際にそれに対応する必要はない)

あたりを見ている気がする。

逆に自分がどうでも良いと思っているのは

  • 必要以上に細かい例外処理: 時間がもったいないので、例外ケースを認識しているということだけ伝えた上で無視してくれるのが一番ありがたい
  • 計算量の議論: 別にしてもいいんだけど、間違った計算量見積もりを言われると藪蛇になってしまうので、聞かれないなら言及しないのが無難だと思う

候補者がすぐに一問目を解いてしまった場合は、簡単な問題をもう一問出題することもあるけど、大抵の場合は一つの問題でインタビュー時間のほとんどを使う。逆に候補者が手こずって時間がかかっている場合は、ヒントを出して、時間内に一応解法まではたどり着けるようにしている。中途半端なところで終わってしまうと候補者としても後味が悪いと思うので。

まだ累計でも十数回インタビューしたくらいなので、まだまだ実際に面接しながらこちらも学習してるような段階だけど、流石に最初の頃と比べると少し慣れてきたような気がする。今年ももっと面接をしないといけない予定なので、引き続き頑張っていきたい。

おまけ: 面接を受ける場合の話

自分はこちらもたいして経験がないけど、たまにアドバイスを求められることがあるのでついでに書いておく。

参考書としては世界で闘うプログラミング力を鍛える本 コーディング面接189問とその解法がおすすめ。著者は元Googleのエンジニアで、記載されている例題も妥当っぽい感じがする。ただしこれは問題集的なので、これを一読しただけでわからないことがあるようなら別途お勉強する必要があるかもしれない。コンピュータサイエンスの全般的なことが一通り網羅されている。

実際の面接では補完の効かないオンラインエディタを使ってコーディングしながら、英語でコミュニケーションを取らないといけないので、それも練習しておくと良さそう。プログラミング中のボキャブラリなんてたかが知れてるので、慣れれば日常会話ほどは辛くない。interviewing.ioというWebサイトで無料でコーディング面接の練習をすることができる。

プログラミングの問題を解くだけならLeetCodeというサイトも有名っぽい。たまにPKU Online Judgeなどで練習してる人も見かけるが、プロコンで求められる能力とコーディング面接で求められる能力は必ずしもイコールじゃない(プロコンのほうがより数学・パズル的)ことには注意したほうがいいかも。

あとはシニアになるほど抽象的な話とか過去の経験の話とかが増えてくる(過去にした設計上の誤りの話とか、チームでどうやってタスクの優先付していくか、など)ような気がするけど、そういうのは対策が難しそう。普段からそういうことを考えるようにしてるといいんだろうか。

*1:前職では3年も在職していたのにインタビュー講習を結局受けないままだったため、一度も面接官にならなかった

*2:実際には事前に他の面接官と相談して、誰がどういった側面をインタビューするか決めている。例えばインフラエンジニアの採用なら、ひとりがコーディング全般のインタビューをして、もうひとりがインフラを実際にセットアップする実技試験、もうひとりが過去の経験やインフラの知識全般を聞くといった具合

*3:これは恥ずかしながら自分の英語でのコミュニケーション能力の欠如によるところもあると思う…違ったフォーマットにもだんだん挑戦していきたい次第

アメリカでA-Listを使ってスタートアップに転職した

サンフランシスコで大企業からスタートアップに転職した にも書いたけれど、スタートアップに転職したい、という気持ちがあって、実際に転職したので、その経験をまとめておきたい。実際に転職活動していたのは2017年8月だけど、書くのが遅くなってしまった。

応募まで

@hmskさんのツイートで知った A-List という求人サイトを主に利用した。A-Listは「top engineers&designersがtop tech companiesと出会える」というのを標榜している求人サイト*1で、AngelListによって運営されている。

A-List上でレジュメを提出して書類選考を通過すると、参加企業のうち自分のプロフィールに興味のある企業からメッセージが届く。自分の場合はレジュメを出してから数日のうちにapproveされて、その後A-Listの面接官を相手に45分くらいのコーディング面接をして*2、その後一週間くらいの間に30件くらいの企業からメッセージが届いた。

ところで、自分はA-Listを使うにあたって、超初期(一人目のエンジニア、シード調達したばかり、とかそういう)のスタートアップをなんとなく想像していたのだけど、実際に連絡が来た会社はシリーズA以降の会社が多い印象だった。転職サイトにお金払って人を増やすようになるにはある程度資金や成長の見込みが無いといけないので、まあ考えてみたら当然である。自分はプロフィールに小さい会社が良いと明記していたけど、AsanaやLeap Motion, Postmateなどの、すでにだいぶ成長しているスタートアップからも連絡が来た。

面接まで

実際に転職活動を初めていろんな会社から連絡をもらうことで、 自分にとっての重要な点が明確化されていったように思う。

  • 初期のスタートアップ(自分が一桁人目のエンジニアになれること)
  • 広告収入ではなく、プロダクト自体にマネタイズ要素があること *3
  • 成長中の組織であること*4
  • 自分がある程度興味を持てる分野であること

などを基準として、自分が興味がありそうな会社からの連絡に返答し、面接の日程を調整していった。

なお、この時点では待遇や細かい職務内容は気にせず返事をしていた。

自分が見ていたサイズの会社だと、founder自身*5が直接連絡をくれるケースが多くて、やり取りをしている時点で会社の雰囲気など想像出来たのでよかった。

電話面接

連絡をくれた会社のうち興味がありそうな会社5つほどに返事をし、電話面接をした。面接の内容としては、コーディングが全体の90%をしめるようなものもあれば、ただCEO/CTOと話すだけというようなものもあった。ここで業務内容と自分のスキルがフィットしてない一社には落とされてしまったので、残る4社のオンサイト面接に進むことに。

オンサイト面接

このときはまだ当時の職場に退職の意志を伝えてなかったので、なんとか時間をやりくりしてオンサイト面接に行った。当時の職場は勤務体系などについてはだいぶ緩かったけど、オンサイト面接に行くとなると一社あたり数時間かかるので、微妙に大変だった記憶がある。

オンサイトの内容も会社によりけりで、4つのインタビューが全てコーディングにフォーカスしたものもあれば、半分くらいの時間を非技術者の人と話すような会社もあった。スタートアップとしてはカルチャーにマッチする人を雇うのは大切だと思うので、カルチャーマッチ的な面接がある会社のほうが自分としては好印象だったけど、自分のスキル的には英語で会話するよりホワイトボードにコーディングするほうがよっぽど気楽なので、ただ会話するだけの面接は大変であった。

また、自分は前職ではずっとAndroid開発を主にやっていたのだけど、転職を機にfullstack engineerとしてWebのバックエンドからフロントエンドまでをやるようなpositionでの面接が多かった。このあたり、前職ではほぼ経験がなかったので、サイドプロジェクトでいろいろやっていたことが役にたった。

面接の結果として、リファレンスを求められたり、こちらからお断りしたり、他の候補者を面接する間待っていてくれと言われたり、さまざまだった。

給与交渉

結局最初に受けた会社が良さそうだなということで、リファレンスチェックを通過したあと、給与などの詳細を相談することに。 僕は最初に新卒で入社したときのオファーにまったく交渉しなかったことをひそかに後悔しており*6、今回はどのようなオファーを貰おうともちゃんと金額を確認し交渉するつもりだった。

一方で、現実的にはスタートアップの給与はGoogleなど大企業と比べて低くなってしまう傾向にある*7。実際に、自分が提示された金額は、前職と比べるとそれなりに下がる金額であった。

一般に、スタートアップでの現金給与は大企業より低く、その分をストックオプションで埋め合わせることになる。このストックオプションがいくらの価値を持つか、というのは諸説あるところだけれど、この記事では、ストックオプションの価値の目安として、前回資金調達時の20%としている。この記事で言及されているような点や、自分の現在の給与など*8を根拠に、期待している金額では無いことを伝え、何度か電話した後、結局希望通りとは行かなかったものの、少しだけストックオプションを増やしてもらうことにした*9

関連記事

転職を考え始めた時期に、同様にアメリカ国内で転職されている二人の記事をたまたま拝見して、勇気づけられた。

ビザについて

自分は一社目の会社でグリーンカードをスポンサーしてもらい、退職前にグリーンカードを取得していたのでビザ面の心配はなかったので幸運であった。 一方で、自分が入社した会社でもH1Bのトランスファーで入ってきてる人がいるので、意外と小さい会社(彼が入社時点ではまだ社員10人くらいだったはず)でもH1Bのスポンサーしてもらえるのだな、という印象。

その他利用したサイト

当初は似たサービスの hired も併用しようと思っており、登録まではしていたのだけど、A-List経由での連絡に返事するだけで手一杯になってしまい結局利用しなかった。

転職活動で自分の興味のある分野がある程度明らかになったため、AngellistTechcrunch経由で興味のありそうな会社を見つけ、いくつか直接連絡してみた。これは正直あまりうまく行かなかった(そもそも返事が来なかった)。原因として推察されるのは、ある時点でTechcrunchなどでいい感じに紹介されていた会社でも、常にactiveに採用しているわけではないといういことだろう。

*1:余談だけど企業側のフィルタリングがどの程度されてるのかは疑問が残る…A-List側に応募企業をフィルタするメリットはあまりないような気がするので

*2:このステップはoptionalであった。もしこれに通過すると、その後受ける企業での一次面接をスキップできる、共通一次面接的な位置づけと書いてあったけど、真偽の程は謎。僕が入社した会社はこのシステムの存在すら知らなかった

*3:これまで関わったサービスは無償のC向けサービスで、ガツンとユーザ獲得してその後マネタイズを考えるタイプの製品ばかりだったので、セールスチームがソフトウェアを売り込むようなビジネス形態に興味があった

*4:ポール・グラハムStartup = Growth といってたし

*5:まあfounderのアカウントを使った人事担当者かもしれないけど

*6:自分が生活する上では必要以上の金額をもらっていたのだけど、エンジニアにとって働きやすい社会の実現のためには個々人が自分の市場価値に見合うだけの給与を要求することが重要だ、という考えになったため

*7:参考: THE $350K GOOGLE SALARY IS HURTING STARTUPS

*8:書いてから思ったけど、自分の給与ではなく自分と同様のレジュメを持つ人の市場的な給与を根拠にすべきだった

*9:とはいえ交渉後の額もたいしたことはない(?)気がするので、結果的に丸め込まれている可能性はある

言わないと伝わらなかった話

転職に際して思ったことをメモしておくシリーズのつづき。

転職を考えはじめた大きな理由のひとつとして、自分のやっているプロジェクトや自分自身に十分な権限やサポートが与えられず、日々の仕事を楽しめていないというのがあった。そんな状態が数ヶ月続き、このまま頑張るよりも新天地を探したほうがやりたいことが実現できるのではと思って転職活動を始めた。

内定が出て初めて上司や同僚に伝えたわけだけど、皆一様にとても驚いていて、曰く、俺は日々の仕事を楽しんでいるように見えたとのこと。 そして自分が転職理由としてあげたいくつかの事項に対して、数日のうちに具体的な解決策を模索してくれたのであった。

もうそのときには行きたいと思える会社から内定をもらっていたし、現職に対するネガティブな感情だけでなく、新天地に対するポジティブな感情からも転職したいと思っていたので結局転職することにしたのだけど、もし同じ状況で数か月前からやり直すことができるのであれば、もう少し違った振る舞い方もできたのかもしれないなあと思った。

自分は結構苦労を抱え込むようなところがあって、1-2ヶ月に一度くらいしか1on1ミーティングの時間をとれなかったマネージャの放置プレーもあって、ただ不満を溜め込む状態になっていた。しかし、結局のところはっきり主張しないと、数十人の部下を見てるような人には問題が認識してもらえないのであって、自分から積極的に伝える努力をするべきであった。また、自分がいざ辞めるという気持ちで問題提起をするとちゃんとマネージャたちも真剣かつ具体的に問題解決に動いてくれる(あるいはそういうふりをしてくれる)のであった。

転職したことについては正しい判断であったと思うけど、せっかく大企業にいる間に、大企業でうまいこと自分の望む変化を起こすための方法を見に付けておくのも良かったかもな、と思わないでもない。

転職先では週1で上司にあたるエンジニアとミーティングがあるし、そもそも毎日いっしょにランチを食べる感じなので、伝える機会がないという問題はおこらなそうだけど、とにかく伝えたい事があればちゃんと主張するというのは意識していきたい。

サンフランシスコで大企業からスタートアップに転職した

三年ほど勤めたアメリカの大企業(アメリカだけでも数万人の社員がいる)を辞めて、シードA調達したくらいのスタートアップ(社員数15人くらい)に転職することにした。家賃が高い家に引っ越したばかりだけど、まあなんとか頑張っていくしか無い。人生初のちゃんとした転職で、いろいろ思うことがあったので、記憶が新しいうちに言語化しておきたい。

この記事では転職を考えだしたきっかけ、最終的に判断した理由などについて自分用にまとめておこうかなと思う。半年後とかに見かえたときに、未来の自分はどう思うだろうか。

7ヶ月前に一度記事にしてたけど、ここ一年半くらい、アメリカのテック系の企業のサンフランシスコオフィスに勤務しながら、日本市場向けの開発をするというユニークな環境にいた。プロジェクト自体はまあ気に入っていたのだけど、自分が唯一の日本語話者エンジニアであるという理由でパートナーからやってきたエクセルを更新する羽目になっていたり、自分だけが一次情報に当たれる中で社内での情報共有に難しさを感じていた。ちょうどその頃チームの再編などがあり、尊敬していたエンジニアが休職してしまったり他のチームに移ったりして、自分のプロジェクトに対するマネジメントからの十分なサポートを感じられなくなってしまった(このあたり、自分の立ち回りとしてもっとうまく出来たなあという気もしているのでそれも機会があれば記事にしたい)

1-2ヶ月前から具体的に転職活動らしきものを始め、その過程で自分が何をしたいのかを何度も考えることになった。

実はアメリカに来る前に、友人の立ち上げたスタートアップを友人含め三人で頑張っていた期間が半年だけあって、働き方としてはあれがひとつの理想だったではないかと思っている。当時は三人全員がアプリのバックエンドからフロントエンドまで全部面倒を見ているような状況で、とにかくゼロからいろいろ模索していたので、日々何かしら進んでいる間隔があった。もちろん作ったものが実際に使ってもらえるか、利益を生むか、というのは全く別の話なのだけど。

大企業(以後A社とする)ではdistribusionの問題は比較的解決されていて、いざ開発したものはmarketingチームの人が宣伝してくれたり、会社自体のネームバリューでそれなりに利用されたりはしているという良さはありつつも、逆に社内の調整やらはそれなりのオーバーヘッドがあったし、リスクをとっても素早く行動する、という判断がいつも出来たわけではなかった。

そうした経験から転職に際してはシード〜シリーズAくらいのスタートアップを中心に探していた。自分がそれなりのオーナーシップを持って物事を進められると良いな、という期待からfullstack engineerを求人しているところを中心に見ていた気がする。

転職に際していろいろ情報を集めていて自分の中で腑に落ちたのは「大企業からスタートアップに転職する動機はgrowthであるべきだ」というもの。自分は新卒で大企業に入って毎年順調に給与も伸びていたし、待遇の期待値ではやはり大企業に軍配がある。プロジェクトの面白さやインパクトという観点でも、大企業にしか出来ない面白いプロジェクトはたくさんあるし、スタートアップで必ずしも面白い仕事ができるかというと当然そうではないと思う。一方、スタートアップならではの働き方や経験というのはあるのではないかと思っていて、次の職場ではスタートアップとして社内リソースが殆どない中でものづくりをしていく経験や、会社として利益をあげて成長していく様子を体験出来ればなあと思っている。

技術的には、A社に入社以来主にAndroidの開発で、たまにサーバサイドの開発をするときもJavaという感じだったけど、新天地ではWeb開発メイン、golangを書けるぽくて、結構楽しみである。インフラ周りとかも、ちゃんとした仕事として触ったことはあまりないので、新天地で体験出来ると良いな、と思っている。

引っ越した

アメリカで働き始めてから三年弱、無事に家賃の値上げにも出会わず、ずっと同じ家に住んでいた。

多少は収入が増えたことと、一時間の通勤がさすがにつらくなってきたことがあり、オフィスの近くに引っ越した。最初の家はSunset地方という西の外れのほうで、一軒家が多い住宅地帯。一方の引越し先は、スタートアップひしめくSOMAエリア。高層ビルも結構あって、なかなか都会っぽい。引っ越しに伴い家賃が月1000ドル以上あがってしまったけど、それでも相場からちょい安いくらいなのでまあしょうがない。

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引っ越しに際して不用品を処分するのにcraigslistとletgoを使ってみた。letgoは写真を撮るだけで物体認識してくれてタイトル自動で付けてくれたり、いまどきの売買アプリという感じで良い。メルカリは発送が面倒そうなので今回は見送り。

事前の予想に反して、letgoのほうがややレスポンスが良かった印象。いずれにせよ無料のものはすぐ受け取り手が見つかるけど、有料のものはむずかしい。これは日本で引っ越したときも同じだったな。

あと、不用品処理としては市の粗大ごみ回収サービスを利用した。事前に電話で予約すると、家の前まで引き取りにきてくれる。

San Francisco Junk Removal: San Francisco Junk Hauling • San Francisco Junk • San Francisco Junk Pickup

捨てられずにたまっていた蛍光灯電球も同様に市の回収サービスを利用しようとしたが、これは2週間先まで予約がいっぱいとのことで引っ越しに間に合わなかった。一日数個まで持ち込みできる回収センターが市内あちこちにあるらしいので、少しづつ持ち込むしか無い。

Hazardous Waste | Recology San Francisco

引越し業者はYelpで探した。Yelp上で複数の引っ越し会社に相見積もりを出せて、予約までできるのは良い。評判の良さそうなMoving forwardというところに今回は頼んだ。

トラック一台と作業員2人で、一時間あたり$120とガソリン代が固定で$25だった。事前に荷造りはせずに、ダンボールを持ってきてもらうかたち。二人暮らし荷物そこそこ、車で30分位の距離の引っ越しで、結局5時間かかった。

ともあれ引っ越して会社が近くなってだいぶ快適になりそう。アジア系の食材を買えるスーパーがこの近辺でまだ見つかっていないので、当面はそれが課題かな。

サンフランシスコで和食を自炊してサバイブする

といっても自炊してくれているのは妻だけど。

アメリカにやってくると、やはり大変なのは日々の食事。サンフランシスコのジャパンタウンには日系スーパーがあるにはあるが、我が家から遠い上に価格設定も強気なので日常使いしにくい。幸いなことに自分の今住んでいるSunset地区はアジア系の人が多く住んでおり、なんだかんだ和食に利用できる食材が手に入りやすい。Irving通り沿い (19thから25thくらいまでの間)にいくつも中華系のスーパーが密集しており、だいたいのものが手に入る。

普段利用しているスーパーなどをまとめてみたい。

Sunset Supermarket - Yelp

メインの買い物に利用している大型スーパー。白菜、しいたけ、ねぎ、やまいも、さつまいも、チンゲンサイ、えのきなどなど野菜各種に加え、冷凍食品(うどん、餃子など)、魚類(えびやらサンマやら)、肉類と一通り買える。

2227 Irving Seafood Market - Yelp

店名にfishmarketとあるが、肉類も扱っている。豚バラ肉が買えるとても貴重なお店(アメリカでは基本的に豚の薄切り肉は売っていない*1 店員の半分以上が英語を喋れないチャイニーズなお店。Pork berryと頼むとその場で切ってくれる。店員のおっさんが適当で、頼んだ量より多めに切ってくるのでご注意を。

S & B Supermarket - Yelp

コンビニくらいの狭いスーパーだけど、日系の食材があれこれ置いてあってありがたい。納豆の他、しょうゆ、ポン酢、キューピーマヨネーズ、桃屋キムチの素、焼肉のタレなどの調味料、インスタントラーメン、お茶漬けの元などが買える。片栗粉やかつお節も運が良ければ手に入る。

Tokyo Central

カリフォルニアの日系スーパーMarukaiと同じ会社が運営してるオンラインストア。$120ドル以上の購入で送料無料。 アメリカに来て以来、お米は田牧米ゴールドというのをずっと食べている。このサイトで買うと一袋だいたい$35 (Amazonなんかで買うよりよっぽど安い)なので、お米がなくなるたびに三袋購入し、ついでにこまごまとした日本式の調味料やインスタント食品などを買うのに使っている。

運転免許無いけどMonterey行ってきた - 2017 3月

3月の最初の週末に、二泊三日でMontereyに旅行に行ってきた。Montereyはサンフランシスコから車で2-3時間南に行ったところにある海沿いの街で、さらに車で10分程の距離にあるCarmelと合わせて、ベイエリアに住む人の週末旅行の行き先として人気が高い。

僕も妻も運転免許を持っていないので、なかなかMonteryまでたどり着くのが大変そうだ、と思ってこれまでは行ったことがなかったのだけど、今回重い腰をあげて行ってみることにした。

まず、行きはCaltrainを利用してSan FranciscoからSan Joseまで。平日朝の出発だったので、通勤特急みたいなやつで1時間半くらい。 San JoseからはLyftに乗ってMonterey のfisherman’s warfまで。一時間ちょっとで、運賃はチップ前で$90ほど。運転手さんにちょっと申し訳なかったので、チップを多めに払っておいた。 初日はfisherman’s warfでご飯食べたり、ダウンタウンをふらふらしたり。小さい町なのでダウンタウンは特に見るものもない。

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Canary Rowの方はちゃんと観光客向けに最適化されている感じだった。ダウンタウン→Canary Rowは徒歩三十分くらいで、歩けなくは無いかもしれないけど歩くと大変そうな距離。我々は大人しくLyftに乗った。 airbnbで見つけた宿泊先はフレンドリーなホストがいて良い感じだった。

二日目は朝からWhale watching. Airbnbのホストがおすすめしてくれた Sanctuary Cruiseという会社を利用した。これはMontereyよりやや北のMoss Landingという港から船が出ていて、Whale watchingのポイントに近いところから船が出る分、燃料が少なくて済むし、参加者としても船酔いのリスクが減るとのこと。Uberで宿泊先からMoss Landingまで$30くらい。

Sanctuary Cruiseは十数人乗りくらいの大きさの船で、バイオ燃料を利用して環境にも優しいとのことで、なかなか良さそうだったのだけど、この日はなかなか鯨が見れず、最初の一時間くらいはひたすら船を走らせていた。 結局鯨が見れたときにはMonteryのfisherman’s warfにかなり近いところに来ていたので、結果論としてはMonteryのfisherman’s warfから出てるツアーでも良かったのかもしれない。 最終的に、この日は遠くから鯨を2,3頭見ることが出来た。また、イルカの群れに出会うことも出来て、こちらは船のところまで来てくれたのでとても良かった。

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Moss landingにあるレストランでランチを食べた後は、またもやUberでCarmelまで。$30くらい。建物が可愛らしい街で、雑貨屋さんなどが多いので妻は楽しそうにしていた。

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この日の夜はNetflixで finding dory (劇中に出てくる水族館のモデルがMonterey水族館)を見るなどした。

三日目はMontery水族館に行った。色んな人からじっくり見て回ると丸一日かかると言われていたので、10時の開館に合わせて行った。 普通に楽しめたけど、全部見て回っても3時間くらいだったかな。葛西臨海公園水族館とかよりもっと広いのかと思っていたけど、そこまでではなかった。

楽しい旅を終えて、家路に着く。San FranciscoまでずっとUberLyftに乗っていくという手もあるかなと思ったのだけど、調べてみるとSalinasという近くの街からgreyhoudのバスが出ているらしいのでそちらを利用してみることにした。Montery -> SalinasまでLyftで30分、$40くらい。Salinasからのgreyhoundが想像してたよりも高くて、二人で$230くらいだったかな。SFまで直接Lyftに乗るのとたいして変わらないかもしれない。ただ社内に電源があるなど、乗り心地は悪くなく、2時間くらいでSFのバスターミナルまで到着した。

ということで免許を持っていなくても、Uber/Lyft/公共交通機関を駆使することで楽しい旅行をすることが出来た。もちろん時間的・金銭的に損をしてるように見える部分はあるわけだけど、それらの不便を考えても、自分で運転をするという行為が自分には考えられないので、自動運転技術の発展を祈るのみである。